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保護者に「学校情報を外部に漏らすな」誓約書の提出を要求 法的には有効なのか?

東京都武蔵野市の学校法人「武蔵野東学園」が学校の新入生の保護者に対して学園に関する情報を外部に漏らさないよう求める誓約書の提出を求めていたと毎日新聞が3月18日に報じた。

武蔵野東学園をめぐっては、学園が運営する武蔵野東高等専修学校の3年の女子生徒が学園の理事長を刑事告訴し、退学処分を受けたことを毎日新聞が今年2月に報じていた。同学校はその後、女子生徒との間で和解が成立し、退学処分を撤回したという。

学園側が保護者に誓約書を提出するよう求めたことについて、毎日新聞は記事で「学園が保護者や教員からの情報提供をけん制する狙いがあるとみられる」と書いており、「違反した場合は損害賠償を求めるとしている」という。

詳細は不明だが、一般的に、学校法人や学校側が児童・生徒の保護者に対して法人や学校に関する情報を外部に漏らさないよう求めることは法的に問題ないのか。また、漏らしたら必ず損害賠償を支払う必要があるのか。

学校問題に詳しい浅井耀介弁護士に聞いた。

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恋人や配偶者の携帯電話を見てトラブルにならないようご注意を

恋人と付き合う、あるいは配偶者との結婚生活を通じて、相手への愛情が深くなっていくほど、浮気の心配は出てくるものだ。「自分以外にも付き合っている相手はいないだろうか?」「他の女性とこっそり会ったりしていないだろうか?」不安な気持ちを抱えたまま付き合っていると、些細な言動が気になり、喧嘩や、時には別れに発展することもある。

そんな不安を払拭したいと、相手の携帯電話を見たいと思うこともあるだろう。しかし、通常は自制心が働きなかなかそうはしないものだ。ただ、仮に相手が携帯を机の上に置いたまま外出をした、相手がシャワーを浴びているすきに携帯電話が鳴ったなどの状況で、衝動に駆られメールや着信履歴を見てしまった場合、どの程度の法律違反にあたるのだろうか。プライバシー問題に詳しい堀晴美弁護士に話を聞いた。

●慰謝料の請求対象になるが、実際に請求されることはまれ

「たとえ、恋人や配偶者であっても、携帯電話の内容をみることは、原則としてプライバシーの侵害になり、民法上の不法行為に該当し、慰謝料の請求対象になります。」

「ただ、全くの第三者の携帯電話の内容を見る場合と違って、恋人や配偶者の携帯電話の内容は、不貞行為の証拠として裁判所で採用されることが多く、不貞行為を認定する際の決め手になることが多々あります。その場合、無断で携帯電話の内容を見たことが不法行為として慰謝料を請求されるケースはまれだと言えます。ですから、相手方の不貞行為が疑われたら、携帯電話のメールを証拠とし保存しておくことが必要になります。」

「ただし、原則として、相手方の了解なく携帯電話の内容をみること、そしてそれを保存しておくことは、プライバシーの侵害にあたり、不法行為として慰謝料を請求される可能性があるということは、心にとめておいた方がよいと思います。そして、できれば他の証拠で不貞行為を立証できるようにしておくことが必要かと思います。」

一方、見る気はなかったが、相手が携帯電話をいじっている最中に画面が視界に入り、他の異性に送っている親密なメールを見てしまったことでトラブルに発展した場合、これも法律違反になるのだろうか。再び、堀弁護士に聞いた。

●故意の有無によって違法性が異なる

「この場合は、上記の件とは違って、『偶然見てしまった』つまり故意がないわけですから、不法行為は成立しません。従って、慰謝料を請求されることもありません。」

「この場合も、不貞行為の証拠としてメールの内容を証拠として保存しておくことが必要になりますが、保存することは、単に見てしまったということとは異なり、故意がありますから、やはり原則としてプライバシーの侵害に該当します。」

「ただ、この場合も、上記のケースと同様、不貞行為の証拠としてよく使われますし、その場合に、プライバシーの侵害にあたるとして慰謝料を請求されるケースはまれです。ただし、保存しておくことはプライバシーの侵害にあたるということを心にとめておいてください。」

個人の携帯電話は恋人や配偶者も踏み入れられない、極めてプライベートな領域である。そのため浮気の証拠をつかみたいと考えている場合、携帯メールや着信履歴は格好の材料となるだろう。しかし、相手方の了解なしに携帯電話を盗み見ることは、プライバシーを侵している事であり、場合によっては慰謝料を請求されることもある。堀弁護士も指摘しているように、相手方の浮気調査を行う場合には、まず違法性のない別の手だてを検討してみてはどうだろうか。

(弁護士ドットコムニュース)

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「チノパン」事故に類似する事故を起こしてしまった場合、逮捕は拒めるのか

元フジテレビのアナウンサーであり、「チノパン」の愛称で親しまれていたフリーアナウンサーの横手(旧姓千野)志麻さんが今月2日に静岡県沼津市の駐車場で起こした死亡事故について、沼津署は横手さんを書類送検する方針を固めたと報じられている。

一方、別件の報道では、今月5日に神奈川県相模原市で無職の女性が駐車場で車をバックさせた際に女性をひいた死亡事故が起きたが、この事故では運転していた女性は現行犯逮捕されたようだ。

それぞれの事故の詳しい状況は不明だが、事故現場が駐車場であったこと、容疑が自動車運転過失致死であることなど、あくまで報じられている内容だけを見れば類似した事故であるようにも思える。しかし、前者の事故では加害者は書類送検、後者の事故では現行犯逮捕と、警察の対応は異なっているのだ。

逮捕=有罪確定、ではないが、逮捕されれば身柄が拘束されることになるので、逮捕されずにすむならそれにこしたことはないと思うのが一般的な感覚だろう。

それでは、もし我々が横手さんの事故と類似するような事故を起こしてしまった場合に、横手さんは逮捕されなかったことを例にして警察の逮捕を拒むことはできるのだろうか。大久保誠弁護士に聞いた。

●逮捕するには「逮捕の必要性」が求められる

「現行犯逮捕については、『現行犯人は、何人でも、逮捕状なくして之を逮捕することができる』と刑事訴訟法に規定されています(213条)。一方、通常逮捕の場合、裁判官は「明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りではない」として逮捕状を発することができません(同法199条2項但し書き)。しかし現行犯逮捕の場合も、条文の文言上はこのような逮捕の必要性という要件がありませんが、やはり逮捕の必要性が要件となるのが判例です。」

●逃亡のおそれや罪障隠滅のおそれ等がなければ逮捕されないこともある

「逮捕の必要性とは、逃亡のおそれまたは罪障隠滅のおそれがある等のため身体の拘束が相当であることをいい、しかもそれは必ず満たされていなければならない条件ではないとされています。横手さんの場合は、著名人ということや事故時の状況から逃亡や罪障隠滅のおそれがおよそないと捜査機関が判断したのでしょう。横手さんが逮捕されなかったことは何ら法的に問題はありません。」

●類似する事故を起こした場合でも、人によって逮捕される場合とされない場合がある

「では、我々が同じような事故を起こしたとして横手さんの例を挙げて逮捕を拒めるかといえば、結局のところ、事故を起こした人の職業等や状況からおよそ逃亡や罪障隠滅のおそれがないと捜査機関が判断できるか否かに関わるので、逮捕される場合もあればされない場合もあるとしか言えません。」

つまり、もし我々が横手さんの事故と類似するような事故を起こしてしまった場合でも、横手さんと同様に逮捕されない可能性もある一方で、警察が逮捕すると判断した場合には、横手さんの例を挙げても逮捕を拒むのは難しいということだ。

●逮捕されなかったからといって、必ずしも逮捕された場合よりも刑罰が軽くなるわけではない

ちなみに、一部の報道では横手さんの事故について50万円程度の罰金刑を予想する声もあるようだが、大久保弁護士の見解では「対人無制限の任意保険に加入していて、保険金が支払われることが間違いない場合であれば、前科がない限り執行猶予相当の案件ですので、最大で懲役3年、執行猶予3年程度でしょうか。」ということだ。

今回横手さんが逮捕されなかったことについて、「著名人だから優遇されたのでは」といった声もあるようだが、逮捕されなかったからといって必ずしも逮捕された場合よりも科される刑罰が軽くなるということではないので、この点は誤解しないよう注意が必要である。

(弁護士ドットコムニュース)

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「改革の原点に立ち返れ!」 政府の刑事司法改革案に刑法学者らが「待った!」

厚労省官僚の村木厚子さんが無罪となった裁判で、提出された証拠が検察官によって改ざんされていたことなどをきっかけとして、法曹関係者のあいだで議論されている「刑事司法制度改革」。政府・法制審議会の特別部会が年内にもまとめるとされる「答申」はその重要なターニングポイントだが、国内の刑法学者らが「待った!」をかけた。

学者らは9月中旬、同特別部会に意見書を提出。「(答申が)刑事司法改革の原点とは異質の制度案となることが危ぐされる」と表明した。改革の原点は、えん罪を生みだしやすい密室での取り調べや、それに依存した捜査・裁判のあり方を変えること……などとして、取り調べの全過程可視化や、検察側証拠の全面開示などを実現するよう訴えた。

この意見書には9月17日時点で103名の刑法学者らが名を連ねている。なぜ、学者らはこれほど強い危機感を持っているのだろうか。そのワケについて、意見書の呼びかけ人の一人である関西学院大学法科大学院の川崎英明教授に聞いた。