この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
「A」という名称を使用して美容関係の店舗を経営していたB社と、同じく美容関係の店舗を経営していたC社が業務提携をしましたが、経営方針の違いから袂を分かつこととなりました。B社がこれまで通り「A」という名称を使用していたところ、「A」について商標登録したC社が、B社に対し商標権の侵害を理由として約1000万円の損害賠償請求の裁判を提起しました。商標登録をされてしまった以上は相手の請求を受け入れないといけないのか、という商標の制度や裁判自体について不安になり、ご相談を受けました。
解決への流れ
訴訟の中では、商標権侵害がないこと、具体的には商標法32条1項の戦士要件が認められるということと、これまでの経緯からC社が商標権を主張することは権利濫用であるということを主張しました。経緯もかなり複雑で、証拠量も膨大でしたが、こちらが筋道を立て、論理的にわかりやすく説明をし続けた結果、裁判所も当方の主張を全面的に認め、相手方の敗訴が確定しました。
商標権というややニッチな分野で、専門性の高い分野ですので、どういう反論ができるのかというのは文献や裁判例をくまなく調べ、検討しました。また、法律論だけでなく、事実関係も複雑であり、当事者からの話を聞き、的確に整理していきました。その結果、こういう事案では珍しく権利濫用が認められましたので、事実関係の整理とその評価(どういう意味を持っているのか)というのが重要だったと思います。