この事例の依頼主
女性
相談前の状況
ドライブ中に交通事故に遭いました。車両も大きく損傷しました。その後、相手方の保険会社から連絡があり、示談解決を提案されました。私自身も早く車両も修理したい気持ちもあり、提案をきいてみることにしました。ところが、その内容には納得できませんでした。私が考えている事故状況と、相手が言っている事故状況が違っていたのです。その結果、相手方が提示する過失割合にも疑問が生じ、弁護士に相談することにしたのです。
解決への流れ
交通事故現場がどういった場所なのか、事故はどういった状況で生じたのか、事故後にどのような経過を辿ったのかなど、私の記憶と認識を詳しく聴取されました。地図やイラストを使って状況を説明し、疑問点や曖昧な点についても細かく確認され、事故の全貌を明らかにしていきました。ただ、私の事故ではドライブレコーダーの映像や目撃者も無いため、証拠や事実関係から見て、どちらの言い分が正しいのかは、はっきりと断定することはできず、裁判の結果がどうなるかはわからないとのことでした。しかし、私としてはやはり第三者である裁判官の判断を仰ぎたいと思い、裁判に踏み切る決断をしました。初めての裁判ということで、特に尋問については非常に緊張しましたが、事前に練習も行い、打ち合わせでは私の言い分の弱い点や話し方の注意なども含めて助言をもらえましたので、自信をもって望むことができました。結果として、事故状況については基本的に私の言い分が認められ、納得できる過失割合での判決を得ることができました。
相手方の保険会社の提示する過失割合は、相手方の言い分に沿って決められています。そのため、提案を受けた過失割合に納得できない場合には、相手方とご自身の認識がどうして異なっているのか?事故の状況そのものが違っているのか?違っているとすればどの点か?過失割合を導き出す根拠は何か?といった観点で、相手方の主張を分析し、こちらの対応を検討する必要がございます。過失割合は、物損のみならず人損(お怪我)に関する賠償にも影響を与えますので、仮に物損としては比較的軽微でも、お怪我がある場合にはより一層慎重な判断が求められます。そして、事件の見通しはどうか、証拠の有無・内容、裁判に踏み切るべきかといった判断のためには、最初の段階からご依頼者様の認識する事故状況を可能な限り正確に聴取することが不可欠です。特に、証拠が十分でないケースでは最終的に尋問に至る可能性が高いため、当初から主張を一貫させることが重要な意味をもちます。本件では、ご依頼者様から有利不利を問わず詳細な事情を聴取し、将来の尋問に備えた十分な打合せを行って参りました。ご依頼者様の尽力もあり、当方の主張は反対尋問にさらされても容易には崩れないものとすることができました。他方で、相手方の尋問においては、相手方の主張の揺らぎや不自然さを指摘し、不合理な弁解に終始している様子を裁判官にアピール致しました。このような双方当事者の一貫性の違いこそが、結果を分ける大きな要因であったと思われます。早期に詳細な事情を把握し、ご依頼者様と協力して事件に立ち向かうことの大切さを改めて感じたケースです。