この事例の依頼主
女性
相談前の状況
「個人事業主の夫が死亡したが、自宅を抵当にして銀行から借入をしていた。買ったばかりの車のローンも残っている。」とのご相談。進学予定のお子さんもおり、なるべく自宅を手放したくないとのことであった。
解決への流れ
まず、個人事業主の相続人であることから、準確定申告についてご案内。次に、当事務所で自宅を適正に評価したところ、債務額を上回る可能性が高くなりました。そこで、ご相談者さまのご意向も踏まえ、相続を単純承認した上で、預貯金から裁判手続費用を捻出して民事再生手続を行い、結果的に自宅の確保をすることができました。
自宅が抵当に入っているケースはよくあります。まず、不動産を適正に評価することが必要です。売却見込額が残債務額を上回っているか下回っているかで、処理は大きく異なります。この点、信頼できる専門家や業者を使わず、どのような金額でも鵜呑みにしてしまう弁護士では、ご相談者さまの利益を損なう可能性があります。また、民事再生手続には、住宅ローンがあっても、自宅を残すことができる特例手続きがあります。場面に応じて、いろいろな制度を的確に使い分けていくことが、債務整理を得意としている弁護士の腕の見せ所といえます。なお、個人事業主が死亡した場合には、4か月以内に確定申告が必要ですが、この点について気づかない期限を徒過し、課税庁から指摘を受けるケースが散見されます。また、相続自体にも相続税が発生することが多いため、この2点を意識しつつ遺産分割をする必要があります。このケースでは、当初債務超過とのご認識でしたが、適正に評価したところ、アンダーローンの可能性が強くなりました(なお、債務整理の際の評価方法と相続税額決定の際の評価方法は異なります)。その結果、ご自宅の維持というご意向を実現することができました。このようなケースでは、相続と債務整理の両方について、得意としている弁護士に相談することをお勧めします。