この事例の依頼主
男性
相談前の状況
相談に来られた方(いわゆる後妻の方)は,長年連れ添った夫が亡くなったが,亡き夫とはいわゆる再婚で,亡き夫は前妻との間に子供が複数名いらっしゃるとのことでした。相談者は,当然,夫の前妻の子供たちとは,これまでに,ほとんど交渉はないという状況でした。そのような状態で,夫が残した主たる遺産は,現在も相談者が生活する自宅不動産の共有持ち分(夫3分の2,妻3分の1の持ち分)という内容でした。相談者は,遺産の中にあまり預貯金も多く存在するという状況ではなかったため,長年夫と生活してきた自宅不動産を手放すことになってしまうのではないかと大変不安を感じられ,ご相談にお見えになりました。
解決への流れ
弁護士として,本件遺産分割について依頼を受けたのち,前妻側の子供たちの代理人弁士との間で,家庭裁判所での調停の場で話し合いを行うことになりました。当初,前妻側の子供たちは,独自に取得した相談者の住む遺産の自宅不動産について民間業者の査定(更地価額)を前提に,高額の代償金を主張してきました。しかし,後妻側の代理人弁護士として,遺産の不動産については後妻との共有状態となっていること,自宅建物の建っている土地に関して更地での評価を前提に代償金を決めることは不当であること,その他,後妻側は高齢で,持病等も抱えており現実的に考えて引っ越しなどは非常に困難であること(医師の診断書等を取得。)などを粘り強く主張立証しました。その結果,最終的には,前妻の子供たちも後妻側の事情等をある程度受け入れ,相談者の側からの相当減額された代償金の支払いを受けることで,遺産分割を解決することになりました。
当初は,夫に相続が発生したために,長年住み慣れた自宅を手放すことになってしまうのではないかと大変不安なご様子でした。しかし,最終的には,前妻の子供たちとも心情的に和解し,前妻の子供たちへかなり減額された代償金を支払うことで解決することができました。相談者からは「今まで通りの生活をすることができ,本当に安心した。」との言葉をいただくことができ,弁護士としても大変やりがいのある事例でした。